退職金運用で失敗しないために

退職金は「増やすこと」より「減らさないこと」

定年退職金は老後の生活を支えるうえで最も重要な資金です。「運用して増やそう」と考える人も多いと思いますが、実際はそううまくいきません。退職金を減らさないための2つのポイントを確認しましょう




 投資で運用しないと”もったいない”と思ったらキケン!

虎の子の定年退職金の運用で失敗する例は後を絶ちません。そういう人は決まって現役時代に株や投資信託へ興味本位で少しだけ投資経験がある人や、逆にこれまではまるで投資に関する知識がなかった人たちが”もったいない病”にかかってしまうのです。
巷では定年退職金を運用してシニアライフをエンジョイ!というキャッチフレーズを目にしますが、バブル時代ならまだしも、プロの投資家でも計画通りの運用がしにくい時代に、成功する可能性は極めて低いと言っていいでしょう。

[投資の基本]・・・リスクが低くて儲かる金融商品はない!

  • 勧められるままの金融商品を購入しない。自分で勉強しましょう
  • リスクヘッジ(リスク分散)は投資の基本
  • 高利率というだけで投資先を決めない
  • 投資をするなら「ゼロになってもいい」お金に限定するガマンが必要





 医療保険加入は慎重に!

定年退職が近くなる年令になると、誰でも病気やケガで入院するリスクは高くなるものです。中には慌てて「今のうちにより手広く保障が得られる医療保険に加入しよう」と思われる方もいると思います。
しかし55歳前後で定年退職前の60歳までに保険料を払い終える医療保険となると、入院日額保障を2万円程度で考えても支払う保険料は総額450〜500万円程度かかります。毎月の保険料は35,000円程度にもなります。


[ 65歳以上 入院日数が長い傷病のトップ3 ]

  • 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害・・・1,230日
  • 血管性及び詳細不明の認知症・・・321日
  • 脳血管疾患・・・118日

こうして見てみると、確かに医療保障が無いと家計を圧迫しそうな気がします。
しかし、下の数値を見てみましょう


[ 年令別 人口10万人あたりの入院患者数 ]

  • 60〜64歳  1,209人(1.21%)
  • 65〜69歳  1,565人(1.57%)
  • 70〜74歳  2,202人(2.20%)
  • 75〜79歳  3,236人(3.24%)
  • 80〜84歳  4,583人(4.58%)
  • 85〜89歳  6,879人(6.88%)

厚生労働省「患者調査の概況」(平成20年)

また年令とともに入院日数は長くなる傾向がありますが、全世代での平均入院日数は35.6日(男性34.5人、女性36.7日)です。例えば乳がんの入院でも約1ヶ月程度です。
医療保険は確かに万事の時に頼もしい保障ですが、平均入院日数を考えると500万円近い”買い物”はかなり高くつく計算になります。
毎月35,000円もの保険料を支払う余裕があるのであれば、それを貯蓄に廻して入院リスクに備えるのが得策と言わざるを得ません。
定年退職近くになって慌てて医療保険に加入するのであれば、より慎重に検討しましょう



 [ まとめ ]

  • 退職金、年金収入を考慮した定年退職後の生活設計を立てましょう
  • 年金受給までの間、流動性の高い元本保証の商品を選びましょう
  • 投資するならば、ゼロになっても良い金額ではじめます
  • 高利率、過去の運用実績だけで投資先を決めない
  • 退職金の預け先は、複数箇所に分散しましょう


老後の生活設計・資金計画


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